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(訳が付いてませんでした)
 このままオゾン層の破壊が進むと、紫外線がオゾン層で十分に吸収されずに地表に届くようになるため、皮膚ガンが増加するなど人間を含めた生物全体に大きな影響を及ぼすとともに気候変動への影響が懸念される。

貧富の差について

健康と医療における格差でもっとも顕著なものは南北間の格差である。先進国では89%の人が60歳以上まで生きるのに対して、後開発途上国では人口の半分が60歳になる前に死亡している。その多くは適切な予防や治療を行うことができれば防ぐことが可能な死である。同じ国の中でも、貧富間の格差、都市・農村間の格差、民族間の格差、性・宗教・社会・文化・習慣に関わる格差がある。都市部では89%が安全な飲料水を手に入れられるが、農村部では62%にとどまり、衛生的なトイレの普及率はそれぞれ78%、25%と今なおギャップが大きい。女性は習慣による差別を受けやすく、約8千万人の女性に行われていると指摘される性器切除は端的な例といえる。経済発展は所得格差の拡大や都市貧困層の増大をもたらし、受けられる医療サービスの質において貧富間格差をますます広げつつある。
 

地球温暖化について

地球の平均気温は現在、15度前後に保たれており、これは人間や動植物にとってすみよい温度である。これは太陽の光により温められた地面が放出する熱(赤外線)を二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが吸収し、大気を温めていることによる。しかし、近年人間の活動が拡大して石油や石炭の消費が増大したことにより温室効果ガスの濃度が高まり、熱の吸収が増え、そのために気温が上昇し温暖化が起こっている。地球の気温は、20世紀の間0.4〜0.8度上昇した。とりわけ1995年以降高温傾向が顕著で、このまま進むと2100年には1.4〜5.8度上昇すると予測されている。このような気温上昇によって地球では何が起こるのだろうか。 まず、氷河の後退や海水の熱膨張により海面水位がさらに上昇すると考えられている。(20世紀中の海面水位の上昇は10〜20センチ。2100年までに15〜88センチ上昇すると予測されている。)この結果、広大な面積の砂浜が水没し、国土を失う国が出てくる。干ばつ、洪水、熱波、なだれ、台風、津波、高潮などの頻度が増大し、影響も激化すると考えられている。また、気候の変化にうまく適応できなかったり、行き場を失ったりした動植物が絶滅する恐れがある。さらに、温暖化は大気の光化学反応を加速させ、光化学スモッグが起こりやすくなるなど公害の発生も予測されている。他にも多くの地球環境への被害が起こるとされている。

  地球温暖化が及ぼす人間の健康への被害

は、洪水や津波などの自然災害によって生命を奪われたり、住む場所を失ったりする人が増加する。また、これらの自然災害や温暖化による気候変化は深刻な食糧不足、水不足を招く。公害の発生は健康への直接的な悪影響を及ぼす。最近の調査結果によると、死亡率の高い熱帯熱マラリアが、従来からいわれていたよりも低い気温(最低月平均気温13度)でも流行すると考えられている。最悪の場合、2100年には中国北部、韓国、西日本一帯までが流行危険地域に入る可能性がある。その他、デング熱などの北上も予想されている。また、地球温暖化により、夏季に気温が高くなる頻度と期間が増加すると、熱射病などの発生率や死亡率が増加する恐れがある。日平均気温が27度、日最高気温が32度を超えると、熱射病などの患者が急激に増加する。また、特に高齢者の死亡率が増加することも分かっている。日本の死亡率は従来冬に高く、夏に低いとみられていたが、1972〜1990年の19年間の人口動態統計と気象の記録とを比較すると、65歳以上の男性については、日最高気温が33℃以上になると死亡率が上昇することが分かる。 以上のように人類だけでなく、地球の生態系そのものが危機にさらされることになる。